流産はあなたのせいではない
こんにちは。先日、看護師さんの友人が流産してしまいました。今日はそのことについて思ったことを書きます。
流産してしまうとママは自分を責める
妊娠初期で流産してしまった友人。いつもサバサバと強い彼女の曇った表情を見ることはほとんどないので、なんと声をかければいいのかわかりませんでした。
そして彼女がつぶやきました。
「ちょっと動きすぎちゃったからかな」
彼女の仕事は忙しい立ち仕事。ハードなことは重々承知でしたが、その言葉を聞いて胸がおしつぶされる思いでした。
やはりママ。
流産をしてしまうと自分のことを責めてしまう母親の心。
流産はなぜ起こるのか
妊娠初期、特に6〜10週の流産の大部分は染色体異常が原因と言われています。これは健康な人でも若い人も誰にでも十分起こりうることです。
Differentiation of genetic abnormalities in early pregnancy loss
子宮筋腫や癒着など、子宮の物理的な異常が流産後に見つかる人もいます。しかし大規模なメタアナリシスでは子宮筋腫と流産の関係はありませんでした。つまり詳しいことはまだわかっていません。
Leiomyomas in Pregnancy and Spontaneous Abortion: A Systematic Review and Meta-analysis
子宮に直接的な外傷があった時は流産につながるとされています。上の子がお腹にボンッと乗ったとかいうレベルではなく、銃で打たれた、などの外傷です。DVが流産につながるという研究もありますが、それを否定する研究もあります。
Violence does not influence early pregnancy loss
まとめると、大部分は染色体異常、でも他の原因はよくわかっていないということになります。
ストレスで流産になるか?
ストレスで流産のリスクが高まるという研究はあります。この研究では精神的ストレスによって流産のリスクが1.4倍になっていました。これを大きなリスクと見るかは個人的主観によると思います。
The association between psychological stress and miscarriage: A systematic review and meta-analysis
ところが、よくよく研究をみてみると、このストレスは人種格差や住むところ/食べるものもままならない貧困、暴力的関係、ロケットによって攻撃される命の危険性などが含まれます。
Weathering the storm; a review of pre-pregnancy stress and risk of spontaneous abortion
Prenatal stress and risk of spontaneous abortion
医学的には、例えばですが仕事の忙しさや近しい人の病気などで流産のリスクが上がることはないとされています。
妊娠初期にストレスをなるべく減らしてゆったり過ごすことにはメリットがあります。でも流産してしまったのはこの時期に忙しい仕事を続けていたからだと自分を責める必要はゼロです。
まして他の人にも責められる筋合いはありません。
流産を防ぐためにできること
流産を防ぐためにできることは多くありませんが、必ず見直しておきたいことはいくつかあります。
摂っている薬を見直す:流産のリスクを上げるものはたくさんあります。常用しているお薬はもちろん、時々飲むお薬、飲んでいるサプリ、ハーブ類も必ずチェックしましょう。
タバコ、カフェイン、アルコールの量を見直す:タバコもアルコールも流産のリスクをあげますし、赤ちゃんが健康に育たない原因となります。妊活中から摂取を控えるのがベスト。難しい場合は医療機関に相談を!
Alcohol Use in Pregnancy and Miscarriage: A Systematic Review and Meta-Analysis
Cocaine and tobacco use and the risk of spontaneous abortion
カフェインも取りすぎると流産との関連が指摘されています。取りすぎってどれくらいか?毎日コーヒー1杯分増えるごとに流産の確率が7%上がったそうです。米国産婦人科学会では、コーヒー2杯分程度であれば問題ないとしています。
How much coffee can I drink while I'm pregnant? | ACOG
糖尿は妊娠前から妊娠中もしっかり治療する:糖尿病がある方は、血糖値が安定させると流産するリスクを下げることができます。
性病はしっかり治療する:未治療の梅毒やクラミジアは流産のリスクを上げます。他の性病も早産の原因になったり、赤ちゃんが元気に育たなかったり、出産時に赤ちゃんに感染してしまったりすることがあります。今や性病はすぐに治療できるものがほとんどです。自分が症状がなくても、パートナーがかかってしまった場合は治療するべき場合もあります。
文献英語ですみません。Google scholarにかけても、なかなか日本語だといい論文にたどりつけません… ご了承ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。